世界遺産の基礎知識


Point世界遺産
1972年にParisで開催された第17回UNESCO総会において採択された 「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」 に基づいて、かけがえのない自然や人類の築き上げた文化的所産などを 統一的な観点(登録基準) に基づいてリスト化していく作業が進められています。 このリストが世界遺産リストであり、記載されているさまざまな遺産、それが世界遺産です。

Point世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)
過去の文明の実相を解明する手掛かりとなる遺跡(文化遺産)や貴重な自然など(自然遺産)を保護し、次の世代へと引き継いでいくために、世界中の人々の国際協力を推進することを目的に、1972年の第17回ユネスコ総会において採択された国際条約です。
従来、相反するものと考えられてきた、自然と文化の間には、互いに補完しあう密接な関係があるという新たな考え方を提示していることが、この条約の際だった特徴です。たとえば、ある民族固有の文化が、その民族が暮らしを営む周囲の環境の中で培われてきていることや、人類がその営為の中で造り出した歴史的建造物が、周囲の自然環境との調和においてその美しさを際だたせていることなどから、私たちは「文化」と「自然」の相補的関係を見てとることができます。
地球上に残されているこれらの文化遺産や自然遺産は、人類全体にとってのかけがえのない宝物です。条約は「世界遺産リスト」をつくり、人類共通の宝物である「世界遺産」としてふさわしい物件をこれに記載し、保護していくことをうたっています。

遺産(Heritage)
世界遺産が「世界的な遺産」だというのはわかります。では、そもそも、遺産とは何でしょうか。遺産はしばしば宝物にたとえられます。宝物であれば、英語ではTreasureなどと表されても良いように思えます。しかし、実際にはHeritageです。遺産に関わるさまざまな人々とお会いすると、この「Heritage」という言葉をとても大切にしていることがわかります。英和辞書をごらんになってください。HeritageとTreasureの大きな違いは継承していくという概念の有無にあることがわかります。すなわち、ただ美しいとか古いとかいった現状の価値の大きさを賞賛するだけでなく、それを次の世代へと伝えていきたいという人々の意志が込められることで、はじめて「遺産」になるのです。地球上に存在する様々な価値を、次の世代へと伝えていきたいという統一的な観点でリスト化していくことで、一種の 「価値の体系化」が果たされていると感じられます。
参考 SRIC MOOK Vol.2 「世界遺産が教える価値と誇り」(1997年 三和総合研究所)

Point登録基準
文化遺産

  1. 独特の芸術的成果を示すもの
  2. 建築や都市計画・景観に大きな影響を及ぼしたもの
  3. 消滅した文明や文化的伝統の証拠を示すもの
  4. ある様式の建築物あるいは景観のすぐれた見本となるもの
  5. 単一あるいは複数の文化を代表する伝統的な集落、土地利用を示すもの
  6. すぐれて普遍的な価値をもつ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術に関するもの
自然遺産
  1. 生命進化の記録、重要な進行中の地質学的・地形形成過程あるいは重要な地形学的・自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本であること
  2. 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や生物群集の進化発展において、重要な進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本であること
  3. 類例を見ない自然の美しさ、または美観的にみてすぐれた自然現象・あるいは地域を包含すること
  4. 学術的・保全的視点からみて、すぐれて普遍的価値をもち、絶滅のおそれのある種を含む、野生状態における生物の多様性の保全にとって、とくに重要な自然の生息生育地を包含すること

世界遺産リスト
世界遺産とその登録年、適用基準について(作ったものの、とても重いのでおすすめできません…。近いうちに改良します。)

日本の世界遺産
日本には自然遺産2件、文化遺産7件の合計9件の世界遺産があります。全部ご存じですか?

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